苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

この高級マンション、欠陥あり―原発は技術的・経済的にも最初から破綻している


 そのエントランスはまるで高級ホテルのようで、大理石の床に絨毯、広々としたロビーはシックな色合いで整えられ、大きな一枚ガラスの向こうの中庭に観葉植物の緑が目にまぶしい。もちろん玄関のロックは生体認識の最新のセキュリティが完備されている。
 快適なエレベーターで一気に30階の自宅まで上がり、ドアを開けてボタンを押して分厚いカーテンを引けば、昼は東京湾を行き交う外国客船を見渡すことができ、夜の帳が下りれば百万ドルの夜景を望むことができる。リビングは広々としていて、夜には間接照明が美しく、胡桃材の落ち着いた家具が予め備え付けられている。ソファに深々とからだを沈めて、ブランディを傾けながらクラシックに聞き入るのは至福の時である。
 ベッドルームを開けば、ウォークイン・クロゼットが嬉しい。水周りはといえば対面式のシステムキッチンでシンクは御影石オール電化で火は見えない。広々としたバスルームからも夜景が楽しめる。
・・・快適、安全、清潔と宣伝されて、気に入ってウン億円のローンを組んで、2ヶ月前このマンションに引っ越してきた。ところが暮らし始めてその日に気がついた。このマンションにはトイレがないのだ。管理人に聞けば、「設計ミスでトイレは作り忘れたのです。」という。だが、各戸には臭気のもれない大きな密閉式の大きなタンクがあり、電気で臭気を停めて細菌が増えないように管理しているので、マンションの管理人はとりあえずそこで済ませてくれ。ほかの住人たちも、それですませているというのだ。「そのうち汚物処理技術が確立すれば、この問題は一気に解決するはずです。」と。
 しかし、1ヶ月も暮らすうちにくだんの密閉式タンクは汚物で一杯になってしまった。やむをえないので、最近はあちこちの部屋の隅に管理人から支給された密閉式の汚物容器に蓄えておくしかない状態になってしまった。この汚物容器も特殊なもので常に通電しておかなければ、とんでもない悪臭と細菌が部屋に充満してしまう。もし停電になれば、と思うと恐ろしい。

 こんなマンションにあなたは住みたいだろうか。いや、現実に私たちはこんなマンションに住んでいるのだ。原発はトイレのないマンションだといわれる。その核廃棄物の処理ができないからである。原発は一基で1年間運転すると広島型原爆の1000倍の「死の灰」を作り出す。しかも、その「死の灰」を無害化処理する方法がない。いずれ科学が進歩すれば、処理する技術も発明されるだろうという甘い見通しで、スタートしてしまったのだ。
 日本には原発が54基運転中だから広島型原爆54000発分の死の灰を毎年毎年作り出しては、やりばに困っている。六ヶ所村ではすでに3000トンの使用済み核燃料という危険極まりないゴミがあふれている。ゴミがあふれているから、各地の原発の建屋内プールに保管している。それらのゴミが爆発しないために、じゃんじゃん電気を使って冷やさねばならない。電源が切れるとメルトダウンと爆発が待っている。しかも、このほどの米国政府の発表によれば、このゴミは100万年監視しなければならない。バカも休み休み言えといいたくなる。世界最古の文明というメソポタミア文明成立からまだ5500年程度しかたっていないのだ。100万年も監視できる道理がない。
 そもそも原子力発電は、その最初から、技術的にも経済的にも破綻しているバカげた発明品なのだ。原発を導入したのは、理性ではなくて、利権に目がくらんだ連中の欲望にすぎない。
 原発は、火力・水力に比べると一番安いコストで電気を作り出すことができると、東電おかかえの原発学者やお雇いタレントは聞く者の無知に付け込んで、しゃれたグラフなどを見せてだましてきた。これは悪質な虚偽広告である。原発はそのゴミを冷やすために、莫大な電気を使い続け、100万年監視し続けなければならない。なにが安いものか。また原発は、いったん事故が起れば、その賠償だけで莫大な出費を強いる。そのコストは金銭ではすまない。ふるさとを失う人々、農業・漁業の基盤の喪失、水源地の喪失、そして事故の収束に向けての現場作業員たちの生命。多くの人々、特に子どもたちのガンや白血病などの発生。苦しみと死。原発のコストは天文学的なものである。
 そもそも原発は、科学技術としても経済的にも破綻している。原発は、もっとも不潔で、もっとも危険で、もっとも高価な発電方法である。原発は、トイレのない高級マンションなのだ。しかも、その汚物は通電を止めると爆発して居住者に死をもたらす汚染を撒き散らすしろものなのだ。

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 脱原発の手順
http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20110409