苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

節電で脱原発

 「教えて!goo」に送った筆者の回答が載せられベストアンサーとなりました。初めてです。
「節電がすごい!原発廃止も可能とは思いませんか?」に対する回答です。http://oshiete.goo.ne.jp/qa/6627829.html
少し加筆して下記に載せます。ほとんどの内容は、もう以前このブログで紹介しましたが。

1.福島が止まった現在も電力は余っているように思われますが・・・
(1)「計画節電しますよ」と言った東電とその関連の発電所すべての電力を調べ上げて積算した人がいます。すると、奇妙なことがわかりました。

総火力     32,766,000 kW 39機 10系統 42軸
原子力   4,912,000 kW 7基
総水力     8,671,380 kW 162ヶ所
協力      1,050,000 kW 3機

東電総発電量   50,029,542 kW 228ヶ所
最大電力需要が  41,000,000 kW ・・・・・冬場のピーク時。
 変ですねえ?東電の発表とちがって、余裕が 9,000,000 kW もあります。東電の人は足し算もできないのでしょうか。それとも、東電の発表は権威があるから、改めて検算する人なんかいないと高をくくっているのでしょうか。さらに・・・・

詳細はこちらを参照⇒http://blogs.yahoo.co.jp/semidalion/44831507.html
ここには、反論コメントも含めていろいろ書かれています。

(2)かりにこの夏はほんとうに不足気味であるとしても(というのは、福島の第一、第二原発に併設されている火力発電所も被災したからですが)、大局的に見て確かなことは、人口減少に伴って、電力需要は長期減少傾向にあるということは事実であるということです。だから、地震直前の報道では中電も東電も電力需要をオール電化と電気自動車で作り出すことに必死であるとあります。
 私たちは、テレビと新聞の大口スポンサーの電力会社の宣伝ばかり聞かされて、「原発がないと電力が足りない」と思っています。ところが、現実は電力需要は人口減少に伴って減少しています。だから、電力会社は「電力不足」と叫びながら、「中部電力 長期的需要低下に危機感 電気自動車とオール電化」の宣伝をすると表明しています(日経新聞2月25日)。東電はオール電化キャンペーンで原発二基分の需要を作り出したそうです(読売新聞2011年3月23日)。

(3)<追記4月7日>アエラ4月11日号にも、やっぱり・・・
 「これは意外にも,日本の電力需要は,こんどの巨大地震で火力も被害を受けた当面の東電管内を別とすれば,原子力を除く既存の火力と水力発電だけで,電力消費の過去最高を補ってもなお,若干ではあってもお釣りがくる数字となっている。これに一般メーカーなどの自家発電をくわえると,過去最高の需要を相当に上まわる潤沢さである。原子力が欠けると電力需給はもたないという,いつのまにか人びとの頭にこびりついてしまった通念は,統計数字をみるかぎり誤りである。
 以上は,火力発電・水力発電に関して必要な定期点検・補修,また降雨量なども考慮に入れても妥当する議論である。最近まで火力発電では実際に供給能力の半分程度しか稼働していない。一番問題なのは,年間のある一時期の,それもほんのわずかな時間帯の需要の突出まで〔2001年7月24日の最高記録がその好例〕面倒をみるために,ほかの季節での無駄な遊休化を承知しつつ,原発を始め各種発電所の建設がつづけられてきた(63頁3−3段)。」(アエラ2011年4月11日号)


2.電気事業法という奇妙な法律
 なぜ電力会社は4千億円とも六千億円という原発を造りたがるのでしょうか?普通の商売ならば、設備投資を安くおさえて高く売りたいはずですが。
 それは電気事業法で<電力量収入=原価(発電所建設費・運転費・営業など)+原価×4.4%>だからです。つまり原価を高くすればするほど電力料収入は高くなるのです。減価償却の済んだ火力発電所をもっていても儲からないが、四千億円の原発を持てば儲かる。ですから原発は電力会社には必要でも、消費者には必要ありません。電力会社だって、日本がほろびたら元も子もないのですから、本当は原発は誰にも要りません。


3.マスメディアは大丈夫なのか?
 この計算式を見て初めて電力会社が、あんなにもものすごくたくさんコマーシャルをするかがわかりました。電力会社は、競合するもののいない独占企業ですからコマーシャルは無用に思えます。なぜあんなにたくさんコマーシャルをするかといえば、第一は原価を高くすること、第二は「電気が足りません」「原発が必要です」という宣伝をするためなのかなあ・・・なんていうのは誤解でしょうか。
 いずれにせよ、原発のような一国を滅亡に陥れるような危険物を抱えた電力会社がテレビや新聞の大口広告主であるということは、原発について正確な情報が国民に提供されているのかという観点からいえば危険なことです。広告主の悪口にあたることは、言えませんからね。
 同じことは有識者や政治家についてもいうことができます。自分で読んだわけではないのですが、原発のような一基5000億というような巨大プロジェクトの場合その3〜5パーセントは政治家の懐に入るそうです。それから原発を推進する大学教授たちはどうなんでしょう。テレビは、そういう推進派の大先生たちにいい加減なコメントを言わせて、「爆発はありません」といった五秒後に爆発したり、「大丈夫です」しか言わせなかったりしています。本当は原発推進派と反対派の両方を出させるべきでしょう。
 
4.原発の東側はみな被曝する
 25年以内に90パーセント来る東海地震の震央に浜岡原発が稼動中であり、これは今度来る直下型超巨大地震に到底持たないと設計者が言っています。http://blogs.yahoo.co.jp/yajimatakehiro2007/38107584.html福島は本州の東岸なので放射能雲は太平洋上空に拡散していますが、浜岡原発が破綻すれば、偏西風で放射能雲が数時間で関東平野から東北、北海道を長期間覆い続け、水源地も農地も汚染して人は住めなくなります。
 今回の経験から、浜岡のみならず、偏西風が吹く日本列島では、原発の東側の地域はいったん原発が破綻すると、事態が終息するまでの数年間被曝することがわかりました。たとえば島根や若狭湾原発群が破綻すれば、北風によって関西・中部・東海。滋賀・柏崎が破綻すれば冬の風で関東甲信越は全滅。静岡浜岡原発が破綻すれば、春から夏の風によって関東から東北にかけて。青森、北海道の原発が破綻すれば北海道全域。日本中が原発の危険にさらされている現実を直視すべきです。
http://www.dwd.de/bvbw/generator/DWDWWW/Content/Oeffentlichkeit/KU/KUPK/Homepage/Aktuelles/Sonderbericht__Bild5,templateId=poster,property=poster.gif
 うーん、今日のような空気の流れだと、東側とはかぎらないのですねえ。

5.LED化など省エネ技術で原発は無用になる
 2010年の総電力量に原発の占める割合は23パーセント。全国の照明をLED化することによって見込まれる節電は20−25パーセント。ですから、省エネLED化で原発はひとつも要らなくなります。代替エネルギーも大事ですが、省エネ技術なら即実行できます。このあたり、もっと調査が必要です。原発に注いできた莫大な国家予算を省エネ技術開発と代替エネルギー開発とに注ぎ込めば仕事は早いはずです。まあ、友人の試算だとLED化だけで脱原発分は大丈夫みたいですが。
 原発が突然なくなって、雇用がなくなってしまう原発設置地域に、LED工場を優先的に誘致するといいですね。


6.脱原発の手順
 いますべきことの第一は電力事業法改正、第二にオール電化・電気自動車キャンペーンをやめさせる。第三は、全原発を停止して一年冷やし廃炉。バックアップ用火力発電に一時切り替える。第四に全国のすべての照明を省エネに切り替えてゆき、順次火力発電を停止することです。これで脱原発と安全な新しい日本つくりは可能です。

7.代替エネルギー
 いずれ石油はなくなりますが、ウランの埋蔵量のほうがもっと少ないそうです。代替エネルギーにはいろんなアイデアがあります。地震国日本に向いている地熱発電、海洋国日本むきの潮汐発電、場所によっては風力発電とか、お天気のいい地域ならソーラー発電。ちなみに電池の高効率化は急速に進んでいます。ほかにも、高速道路の振動エネルギーを電気に変えるとか、東京・川崎・新宿のような人が一日に何万人もとおる駅の改札口の足元に踏むことによって発電するマットを敷くとかさまざまなすぐにも実行できるアイデアもあるのです。大きな発電所で電力を作ってそれを送電線で遠くへ運ぶロスと景観の破壊を省くには、こういう身近で安全な発電設備をそれぞれの地域や建物がもてばよいのです。
 これまで原発に湯水のように注いできた国家予算(4300億円ほど)を、代替エネルギー開発に向ければよい。電力会社から袖の下をもらっていた大学教授たちが、「実用には程遠い」などと行ってきたコメントは信用しないことです。