森山直太朗の「うんこ」という曲を聴いた。とても短い歌である。
「さっきまで 体の中にいたのに
出てきたとたん
いきなり嫌われるなんて
やっぱりおまえは うんこだな」
多くの人は笑うのだろう。笑っていいのかもしれない。だが、筆者には笑えなかった。直太朗はこの歌で人を笑わせようと意図しているとは思えない。
うんこにかぎらず、およそ体の中から出るものは、涙以外はすべてきたないものと見られるという、私たちの心理現象の不思議さを歌っているのだろうか。涙のほか例外は、赤ん坊だけ。ところが、その例外が例外でなくなった来ているのだろうかと思わせられるこの年だった。
筆者は、昨晩、車のラジオが、「2010年は子どもの虐待のニュースが多い年でした」と話していたことを思い出してしまった。「産んだけれども、子どもがかわいいと思えず、自由が束縛されるのが耐えられなかった。そして、子どもを餓死させた。」のだそうである。その子は同年齢の子どもの三分の一の体重しかなかったという。その子の絶望を思えば、憤ろしくてからだが震えてしまった。神はこのような世界をいつまで猶予なさるだろう。審判の日が近い。
直太朗は、こんな異常な現代を描写しているのではないだろうか、と筆者には思えてしまったのである。それにしては、曲も歌声も美しすぎるのだが。