苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

「8年目の約束―三井環と鳥越俊太郎」

 2002年4月22日、大阪高等検察庁公安部長三井環氏が、検察幹部の裏金作り、つまり税金不正流用を鳥越俊太郎のインタビューに応じて告発しようとした当日三時間前に逮捕された。当時、検察幹部たちは、自らの遊興費を調査活動費と偽る領収書を偽造して裏金つくりをしていた。その金額は一晩10万円から30万円、毎年6億円、総額100億円に上るという。もしこの事件が発覚すれば、法務省事務次官検事総長、高検検事長、地検の検事正たち約70名の検察幹部が懲戒免職され、検察の威信は一時期地に落ちることは免れなかった。だが、三井環氏の考えでは、検察は自浄力を発揮したことによってやがて信頼回復ができると期待して、最初、匿名内部告発のかたちで週刊朝日にの取材に応じた。しかし、当時の原田検事総長、M法務事務次官、F刑事局長は、後藤田正晴法務大臣の事務所を訪ね、後藤田氏にことが発覚すれば日本の裁判制度そのものが持たないと泣きを入れて、検察の組織的裏金作りの件をもみ消してくれるように要請した。
 検察が政府に大きな借りをつくってしまっては、政府に対して捜査はできなくなる。そこで三井氏は実名で鳥越俊太郎のインタビューに応じることを覚悟した。続いて、朝日新聞第一面に取り上げてもらい、国会議員菅直人とも連絡して国会証人喚問に応じる手はずも整えて、いよいよという段階になったのが2002年4月22日朝である。
 ところが裏金発覚を恐れた検察最高幹部は、事件をでっち上げて三井環氏を緊急逮捕した。検察はたくみにマスコミにリーク情報を流して、三井氏をあたかも大犯罪人であるかのごとくに仕立て上げた。小泉内閣法務大臣森山真弓は検察の裏金作りは事実無根であるとマスコミに虚偽の発表し、裁判の始まらないうちに三井氏を破廉恥検事として、不当にも懲戒免職にしてしまう。
 そして、裁判。検察と癒着した裁判官は、法曹関係者の常識からすれば、異常な実刑判決をくだした。
 こうして検察は、自民政権に弱点を握られてしまう。そのため、これ以降、自民党政権は検察を政敵を撃つための道具としてきたと解されるという。

*すみやかにごらんあれ。なんらかの圧力で見られなくなる可能性が高い。      http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/
* 三井環さんの手紙http://uonome.jp/article/mitsui_letter/723



 かつて、人間の思いが常に悪に傾くのをご覧になった神は、大洪水をもって世を滅ぼしてしまわれた。大洪水後、歴史の再出発にあたって、悪を防止するために国家に剣の権能を託された(創世記第9章、ローマ書13章)。弱肉強食の世において悪がはびこることを防ぐために、裁判所は正義のとりででなければならない。もし法を司る者たち自身が腐敗してしまったなら、世はふたたび滅びてしまう。古代イスラエル王国の滅亡が近づいた時代、ふたつの社会現象があった。一つは偶像礼拝、もう一つはワイロによって正しい裁きが行なわれなくなってしまったことだった。このことを思うと、司法の腐敗はこの日本社会にとって致命傷となるのではないかと、懸念される。私たちは心して祈るべきであろう。
 「すべての人のために、また王とすべての高い地位にある人たちのために願い、祈り、とりなし、感謝がささげられるようにしなさい。それは、私たちが敬虔に、また、威厳をもって、平安で静かな一生を過ごすためです。」第一テモテ二章、1節、2節