苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

マイブームその1

 マイブームのひとつは、ドラマ「コードブルー」をパソコンで見て、家族で毎週泣くこと。先日、会議の合間の昼食時、そのことを話題にしたら、世田谷のA牧師も同じく家族で毎週泣いているという。まだ見たことがないというほかの牧師たちに、ドラマの説明をしているうち、大の男が二人とも涙をハンカチで拭いていたら笑われてしまった。
 コード・ブルーというのは緊急救命の若い医者たちの物語。A牧師一推しの一篇を紹介したい。
 五十代半ばの男性が妻に付き添われて病院にやってきた。夫はひどい頭痛がするという。夫の検査のあいだ、夫人は、親しくなった女医に話した。
「夫は仕事一筋でやってきた口下手な人です。でも、あの人ったら、初対面の翌日、いきなり私に『ぼくといっしょになってくれませんか。』ってプロポーズしたんですよ。」
「で、奥さんはなんて答えたんですか?」
「『はい』って。」
 そう答えると、夫人はたのしげに微笑んだ。それは、彼女にとってもっとも大切な記憶なのである。
 診断の結果、夫には脳腫瘍がありオペは可能。だが、オペをすれば記憶が失われてしまう可能性大である。しかし、オペを避けて温存療法をしてもどれほど効果があるか定かではない。生命の危険がある。夫婦は迷ったが、結局、手術を決断する。だが、夫は手術を前にしても妻にうまく気持ちを伝えることができない。そこで、密かに夫は手術を前に、医師に妻への手紙を託した。口下手な彼には愛のことばもいえないから、もし自分の記憶が失われたときには―、と。
 オペは成功した。はたして記憶は?夫は、世話する妻に対してあいさつをした。
「初めましてご親切にどうも。」
 夫婦として歩んだ三十数年の記憶は失われてしまったのだ。医者は、あの手紙を渡さねばと思う。ところが翌日のこと、夫が妻にいう。
「すみません。昨日、会ったばかりですが、僕と一緒になってくれませんか?」
 いかん。また涙が出てきた。でも、これじゃ泣くでしょ、誰でも。

今朝、霧に沈む駅の時計台