「神なき人間の悲惨」から「神とともにある人間の至福」へ。これがパスカルの「キリスト教弁証論」における構想だった。パスカルが早世したので、これは構想のままに終わって、そのおびただしい草稿断片の束が遺され『パンセ』と呼ばれるようになった。訳せば『断想集』である。
キリスト者の生活とは、神とともにある人生なのである。人は問題があれば即座に解決を求めがちだが、キリスト者の生とは、あの問題この問題をどう解決するのかを求めることではなく、神がともにいてくださるならばたとえ問題を抱えたままでも、生きていくことができるという証である。神がともにいてくださるのだから、悲しんでいるようでも、うちに深い喜びを抱き、窮しているようでいて希望をもって生きていくことができるのである。