苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

聖句黙想

信仰、愛、希望

四十年ほど前の夏、最初に友人からもらって読んだ信仰書の扉に、「こういうわけで、いつまでも残るものは信仰と希望と愛です。その中でもっともすぐれているのは愛です。」(1コリント13:13)と書かれていました。そのせいか、ずっと意識にある三つ一組みで…

章立てをはずして聖書を読むこと

聖書に付けられた章と節は後代に付けられたものである。聖書の創世記第1章からして、章の立て方をまちがえていて、1章の創造記事は2章3節まで続いている。だから、章を外して聖書を読んでみることである。章立てが間違っているわけではなくても、もとも…

聖書を原語で読む意味って・・・

プロテスタントの神学校は、宗教改革の伝統に則って、聖書の原語、原典釈義を大切にする。16世紀の改革者たちはローマ教会のウルガタに基づいて論じる学者たちに対して、ギリシャ語、ヘブライ語の聖書を引用して論じたそうである。神が、これらの言語をも…

聖書解釈:当該本文を文脈の中で繰り返し読むこと

秋から、神学生たちの説教釈義とその釈義に基づく説教を聴いて批評するつとめについている。神学生たちは、指定された箇所のほんの数節のギリシャ語本文を、辞書と文法書と首っ引きで分析するのであるが、その結果が、あまり芳しくない。細かく調べれば調べ…

メシア像のズレ

イエスの同時代人がイスラエル民族が贖われることを待望していたことは福音書に書かれている事実です。彼らはローマ帝国の圧制からの解放を贖いと考えていました。イエスに追随した多くの人々は、イエスをイスラエル政治的贖いのために来られた王だと信じ期…

信仰・愛・希望

18歳の私が初めて読んだ信仰書は、同級生のHさんがプレゼントしてくれたイゾベル・クーン『神を求めた私の記録』だった。その扉に「こういうわけでいつまでも残るものは信仰と希望と愛です。その中で、一番すぐれているのは愛です。」1コリント13章13…

正しい聖書解釈のための3つの心得ー文化・歴史相対主義の問題

1.女性の短髪の件から読み取られる普遍的規範 ポストモダンの現代は、しきりに「みんな違ってみんないい」と多様性が異常に強調される相対主義の時代である。その風潮の影響を受けて聖書解釈においても、聖書の記述を何でもかんでも当時の文化・歴史現象と…

初めの愛に

昨日の礼拝の紙芝居で、ソロモン王が就任時には神に知恵を求め、その知恵をもって神殿建設、平和外交、貿易の展開、知識の探求など諸々の成果を上げたにもかかわらず、政略結婚のため諸国から娶った妃たちが母国から持ち込んだ偶像に惑わされて罪を犯したこ…

イエス様のユーモア

今日、病院の待合で内田先生の『イエスの生涯―エゴーエイミ』を読んでいて、この上なく聖書に忠実に書かれている素晴らしいイエス伝であることに変わりはないけれど、ちょっと真面目過ぎるかなあ・・・。 福音書を読んでいると、イエス様はときどき面白いこ…

「小さい者たち」は試金石

18**章**1**,そのとき、弟子たちがイエスのところに来て言った。「天の御国では、いったいだれが一番偉いのですか。」2**,イエスは一人の子どもを呼び寄せ、彼らの真ん中に立たせて、**3**,こう言われた。「まことに、あなたがたに言います。向きを変えて子…

聖別

このところネヘミヤ記を聴いています。ネヘミヤと民が、妨害を受けながらも、神からいただいた使命である神殿再建のために奮闘する記事です。今日はネヘミヤ記10章でしたが、七年ごとの安息の年を実施することと、初物を神に聖なるものとしてささげること…

一人ひとり数えて

1**,ペルシアの王キュロスの第一年に、エレミヤによって告げられた主のことばが成就するために、主はペルシアの王キュロスの霊を奮い立たせた。王は王国中に通達を出し、また文書にもした。**2**,「ペルシアの王キュロスは言う。『天の神、主は、地のすべて…

わが子、アブサロムよ

王はクシュ人に言った。「若者アブサロムは無事か。」クシュ人は言った。「王様の敵、あなた様に立ち向かって害を加えようとする者はみな、あの若者のようになりますように。」 王は身を震わせ、門の屋上に上り、そこで泣いた。彼は泣きながら、こう言い続け…

乱暴な時代

サムエル記第二の1章、2章、3章をドラマ聖書で聴きました。サウル王没後、ユダ族がダビデを王として油を注ぎ、他のイスラエルの諸部族はどうしようかというとき、ダビデの将軍ヨアブたちとサウルの将軍アブネルたちの争いが起こります。闘技大会のようにして…

アビガイル

1.アビガイルといえば、聖書の世界では、聡明な美女ということになっていますね。やりとりを聴くドラマ聖書で聴くと、確かになるほどーと思いますが、夫ナバルが神に撃たれたあとの転身の速さに、ちょっとナバルが気の毒にもなります。・・・というのは、…

カイン・・・自家製礼拝

「彼女はまた、その弟アベルを産んだ。アベルは羊を飼う者となり、カインは大地を耕す者となった。しばらく時が過ぎて、カインは大地の実りを主へのささげ物として持って来た。アベルもまた、自分の羊の初子の中から、肥えたものを持って来た。主はアベルと…

聖書はまっすぐ読め

先週後半ディボーション誌のコラム連載原稿催促が届きました。忘れていました。以前にまとめて三つ出したので、安心していました。翌日出しました。 昨夜また一つ、別件で忘れていた家庭礼拝用ショートメッセージ原稿の催促が届きました。聖書箇所指定です。…

ヨハネ福音書冒頭

今、ヨハネ福音書に関する本を順々に読んでいます。2年後くらいからヨハネ福音書の連続説教をしたいと思って準備しているんです。それで、小林稔さんというローマ教会の司祭の『ヨハネ福音書のイエス』というのを読んでいます。聖書協会共同訳で「はじめにこ…

ローマ書8章28節について(3) ともに働く

神を愛する人たち、すなわち、神のご計画にしたがって召された人たちのためには、すべてのことがともに働いて益となることを、私たちは知っています。(ローマ8:28) 「すべてのことがともに働いて益となる」の「ともに働く」と訳されることばは、synergeoと…

ローマ8章28節について(2)・・・「益」とは

ローマ8章28節、29節、30節は平行関係にあることを見抜くことが、28節を理解するための肝心な点です。この平行関係を見落として28節だけを取り上げる人たちは、「クリスチャンのために神様はぜんぶ『益』にしてくださる」という、少々都合のよい解釈をしがち…

ローマ8章28節について(1) 「神が」か「すべてのことが」か?

ローマ8章28節で一つ気になることが見つかりました。 新改訳第三版では「神を愛する人々、すなわち、神の御計画にしたがって召された人々のためには、神はすべてのことを働かせて益としてくださることを私たちは知っています。」だったのを、2017では「…

ことばは神の目を見るように

聖書通読でヨハネ福音書1章2節を読んで、ずっと前から気になっている「ことばは神とともにあった」という翻訳がやはり気になる。ギリシャ語初級を学んだ時から気になっているから、35年間気になっている。ho logos en pros ton theonというのだが、ギリシャ…

神様のおちょくり(2)

すると見よ。その地方のカナン人の女が出て来て、「主よ、ダビデの子よ。私をあわれんでください。娘が悪霊につかれて、ひどく苦しんでいます」と言って叫び続けた。しかし、イエスは彼女に一言もお答えにならなかった。弟子たちはみもとに来て、イエスに願…

われらに罪を犯す者をわれらが赦すごとく

新改訳聖書における主の祈りの翻訳で前から気になっていることは、「我らに罪を犯す者を我らがゆるすごとく、我らの罪をも赦したまえ」と文語訳ではあった「ごとく」が訳出されていない点です。新改訳2017でも改められませんでした。ギリシャ語本文には、ホ…

みなしご、やもめの訴え

「おまえの君主たちは強情者、盗人の仲間。みな賄賂を愛し、報酬を追い求める。みなしごを正しくさばかず、やもめの訴えも彼らには届かない。」(イザヤ書1章23節) 近畿財務局元職員故赤木俊夫さんの夫人が、夫の無念をはらすために、森友学園問題の真相を…

近畿財務局元職員とナボテ

大坂日日新聞の掲載された、近畿財務局元職員赤木俊夫さんの手記全文です。クリックすれば大きくなります。 この国の首相夫妻が不正を犯し、首相はそれを糊塗する嘘をつき、その嘘を隠すために、財務省佐川理財局長が動き、地方の近畿財務職のまじめな一人の…

神が悔やむ?

今朝は、聖書通読で第一サムエル15章を読みました。ここには、神様は悔やむのか、悔やまないのかという不思議な記述があります。みなさんは、どう理解していますか。 11 「わたし は サウル を 王 に 任じ た こと を 悔やむ。」 29 「実に、 イスラエル の …

バルナバ

バルナバがいなければ、パウロが初代キリスト教会に受け入れられることはなかったでしょうから、新約聖書の多くを占めるパウロ書簡がなかったことになります。 またバルナバがいなければ、マルコは役立たずとして用いられることなく終わったでしょうから、マ…

その都度、主の声に耳を傾ける

人は心に自分の道を思い巡らす。しかし、その人の歩みを確かなものにするのは主である。箴言16:9 本日のデイリーブレッドに引用されたみことばです。 神学の営みということが、時に、神を自分の考えた枠組みの中に押し込めようとするものになってしまうこと…

悪魔のイエスに対する振る舞いの一見矛盾した点

悪魔はイエスが人として世に生まれた時、ヘロデ大王を用いて殺そうとしました(黙示12章)。公生涯の始まりのとき、40日の試みでは世的成功と引き換えに悪魔を拝むように誘惑しました(マタイ4章)。イエスがご自分の死を予告すると、ペテロを用いて、いさめ…