苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

小説風アブラハムの生涯

15 試練への備え

アブラハムと妻サラの一粒種イサクはすくすくと成長し、乳離れの日がやって来た。日本でも昔は五歳くらいまでは母乳を与える習慣があった。おそらくイサクも、その程度の年齢には達していたのではなかろうか。棟梁の跡取り息子の乳離れゆえ、一族挙げての大…

14  笑太誕生

主は、約束されたとおり、サラを顧みて、仰せられたとおりに【主】はサラになさった。サラはみごもり、そして神がアブラハムに言われたその時期に、年老いたアブラハムに男の子を産んだ。アブラハムは、自分に生まれた子、サラが自分に産んだ子をイサクと名…

13 神の選びの器

ネゲブ砂漠の太陽熱発電(光でなく熱) 20:1 アブラハムは、そこからネゲブの地方へ移り、カデシュとシュルの間に住みついた。ゲラルに滞在中、20:2 アブラハムは、自分の妻サラのことを、「これは私の妹です」と言ったので、ゲラルの王アビメレクは、使いを…

11 ソドム

*小説風にする暇がなく、また好ましくもないので、とりあえず今日はこれで。 (ポンペイとベスビオス火山) 主はアブラハムに言われた。「ソドムとゴモラの叫びは非常に大きく、また彼らの罪はきわめて重い。わたしは下って行って、わたしに届いた叫びどお…

10 神の訪れ

厳しい日差しが、赤茶けたパレスチナの大地をじりじりと焼いていた。この日アブラハムの天幕はマムレの樫の木のそばにあった。彼はその入り口に腰掛けて、半月ほど前に受けたひさびさの啓示を思い出しながら、独り言をつぶやいた。 『サラに男の子が生まれる…

9 アブラハムと改名

(Slow lifeさんの自家製ハム) 若いときにはアブラム(脂無)で、年をとったらアブラハム(脂ハム)って、なんだか、おなか周りのことのようです。今日はまずその話。いや、その話ではありません。神の約束の成就の話。 アブラムが九十九歳のとき、主は久し…

8 一夫多妻の悲劇

「あれでよかったのか。だが、あの方法しかなかったではないか。しかし・・・。」 アブラムはまたつぶやいた。妻サライの女中ハガルから生まれた子イシュマエルは十三歳。背丈は父に迫り、声も低くなって多感な青年期にはいろうとしていた。我が子の成長ぶり…

7  荒野の泉で

ckphoto.exblog.jp 神の時を待てずに カナンの地に来て十年が経ち、アブラムは八十五歳、妻サライは七十五歳となっていた。神の約束によれば、アブラムが神にしたがってカナンに行けば、彼は偉大な国民となるはずであった。それでここ十年、老いた夫婦は、子…

6  いのちがけの約束

さあ星を数えてみよ メソポタミアの王たちの連合軍はほうほうの体で去っていった。それから数日後の深夜、アブラムは揺れるともし火を見つめながら自分の天幕のなかで思いを巡らしていた。 『ロトは、今度の戦争で懲りて、もはやソドムの町に住むことをやめ…

5 桶狭間

歴史の激流 「さて、シヌアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク、エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティデアルの時代に、これらの王たちは、ソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アデマの王シヌアブ、ツェボイムの王シェムエベル、ベラの王、すな…

4  捨てて得る

アブラムにはナホルとハランという兄弟がいた。父テラの下、彼らはそれぞれウルの地で家族を持つまでになっていたが、末のハランはこの地で子どもを遺して早世してしまった。遺された息子がロトである。アブラムと妻サライには子がなかったので、甥のロトを…

3  出直し

幸運か絶望か 妻サライが宮廷に召し入れられてまもなく、エジプト王ファラオからアブラムに屋敷と多額の金品が下賜され、きのうまで難民だったアブラムは、にわかに多くの家畜を持つ大尽となった。エジプト人たちは、「美人の妹様のおかげでお大尽。なんと幸…

2  エジプトへ

約束の地へ アブラムが神の召しにこたえて、妻のサライと一族郎党とカランの地を旅立とうとしていた時に、甥のロトがアブラムに言った。「おじさん。私もどうぞ連れて行ってください。きっと何かのお役に立ちますから。」アブラムの弟であり、ロトの父である…

アブラハムの生涯1  旅立ち 

その後、主はアブラムに仰せられた。 「あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。 そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。あなたの名は祝福となる。 …